日韓両国の有識者による「日韓歴史共同研究委員会」は23日、第2期研究の報告書を公表した。第1期で激しい議論となった「近現代」など3分科会に加え、歴史教科書に取り組むため新たに設けた「教科書小グループ」でも従軍慰安婦問題の記述などで歴史認識の溝が浮き彫りになった。委員間には「国益に有害」との意見もあり、今後も政府レベルによる共同研究を継続できるか不透明だ。
報告書は「古代」「中近世」「近現代」「教科書」の各章で、日韓双方の委員論文と批評文などを掲載する。
報告書で韓国側は、従軍慰安婦問題について、96年に日本の全7種類の中学校教科書で言及していたが、05年には2種類に減り、強制性を示した記述がなくなるなど「縮小の一途をたどっている」と指摘。理由について「政治・社会的状況の保守化」と断定した。
これに対し、日本側は「韓国は従軍慰安婦と女子挺身(ていしん)隊とを混同している。挺身隊はあくまでも軍需工場での勤労動員に限定される用語だ。青少年に『戦場と性』という難題は教えるべき事項なのか、教育現場のためらいもある」と反論した。
また、日本側は、韓国の教科書で多用される「日帝」の概念が「あいまい」と批判。戦後日本の「平和憲法」に関する記述がないことを指摘し、韓国の教科書に明記するよう求めた。昭和天皇以降の反省の「お言葉」や、植民地支配と侵略に対する反省とおわびを表明した95年の村山富市首相談話についても記述を求めた。【中澤雄大】
◇ことば 日韓歴史共同研究
01年教科書検定で「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史教科書が合格したことに韓国が反発し、日韓関係が悪化。事態を打開するため、同年10月の小泉純一郎首相と金大中(キム・デジュン)大統領(当時)の首脳会談で、歴史共同研究の開始で合意した。第2期研究委は07年6月から教科書の記述ぶりなどを議論していた。報告書は約2500ページ。
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